東野圭吾作品を映画化!『ナミヤ雑貨店の奇蹟』のあらすじ(ネタバレ注意)

f:id:kinoshitayukari:20171007063641j:plain

2017年9月より公開の東野圭吾原作の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。東野圭吾史上もっとも泣ける作品だとファンの間で名高いこの小説を、Hey!Sey!JUMPの山田涼介と西田敏行のW主演で実写化が決定しました。今回は、そんな映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の原作のあらすじ(ネタバレ)を紹介していきます。

 

映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』あらすじ(ネタバレ注意)

児童養護施設「丸光園」出身の敦也、翔太、幸平の3人は、ある裕福な女性起業家の自宅に盗みに入った。

そして、逃走用に用意しておいた車にのったが運悪く故障していた。彼らは慌てて走って逃げることにする。走っていると一軒の廃家が目に付き、一晩だけそこで身を隠すことにする。その廃家は、「ナミヤ雑貨店」と書いてあった。

3人がナミヤ雑貨店で時間をつぶしていると、郵便口から一通の封筒が投入される。差出人は「月のウサギ」。内容は悩み相談だった。日付は1980年となっていた。

店の中に置いてあった古い雑誌記事から、かつての空き家の店主浪矢雄治が、生前に悩み相談で評判になっていたことを知った。

敦之は、誰かのいたずらだろうと取り合わなかった。三人は店を出て街を彷徨うと、不思議な事にまたナミヤ雑貨店前まで戻ってきてしまった。

そこで彼らは、思いつきで「月のウサギ」に手紙の返信を書くと、すぐさま第2の返信がシャッターに差し込まれた。

検証の結果、3人は驚くべき事実に気がつく。『ナミヤ雑貨店の中では、時が止まっている』そして『相談の手紙は過去から届いている』。

やがて、彼らはナミヤ雑貨店シャッターの郵便口と、裏口の牛乳箱を通じて、彼らのいる2012年と1980年が不思議な力でつながっていることを知る。

 

相談者・月のウサギからの相談内容はこうだった。

『私はとあるスポーツのオリンピック候補です。恋人が末期がんで入院しました。恋人は競技に専念してほしいと言いますが、私は彼のことが気になって集中できないし、最後のときまで彼に寄り添うべきか悩んでいます』

1980年のモスクワオリンピックと言えば、日本がボイコットした五輪だった。3人は未来人としての知識から、今すぐ競技を辞めて彼に寄り添うようにアドバイスする。

 

結果的に、月のウサギはスポーツを辞めなかったが、彼のことを愛しながら競技に打ち込んだのだという。月のウサギの最後の手紙では、「ナミヤさん、本当にありがとうございました。あなたとのやりとりがなければ、私は大切なものを失い、一生後悔するところでした。深い洞察に心から敬意を表し、感謝いたします」

と、綴ってあった。3人は誰かに感謝されるということに確かな喜びを感じていた。

そして、次の悩み相談が届く。

二人目の相談者・魚屋ミュージシャン

『魚屋ミュージシャン』と差出人が書かれていた。

その差出人の克郎は売れないミュージシャンだった。ナミヤ雑貨店への相談は

「このまま夢を追うべきか、実家の魚屋を継ぐべきか」

3人は就職難のこの時代(2012年)からすれば贅沢な悩みだと一刀両断する。一方、1979年の克郎はついに岐路に立たされることになる。

 

父親が倒れたのだ。

幸い命に別状はなかったが、この先は親の世話だって考えなければならない。

さんざん親に反発してきた克郎だったが、父親に家業を継ぐ決心をしたと伝える。

すると…

「余計なことは考えず、もういっぺん命がけでやってみろ。東京で戦ってこい。負け戦なら負け戦でもいい」

厳しかった父親が、自分の夢を応援してくれている。

「男と男の約束だぞ」

克郎はもう一度、夢を追うことを決意する。

 

東京へ行く前にナミヤ雑貨店へと寄る克郎。最後の手紙にはこう書かれていた。

『あなたが音楽の道を進むことは決して無駄にはなりません。あなたの曲によって救われる人がいると思います。そしてあなたの生み出した曲は必ず残ります。最後まで、そのことを信じてください。最後の最後まで、そのことを信じていてください』

 

 

その日、克郎は児童養護施設『丸光園』に演奏に来ていた。クリスマスにあわせて、子供たちの前で曲を披露する克郎。最後にはお決まりのオリジナル曲『再生』をハーモニカで奏でた。

 

夜、食事会のあと丸光園の一室で休んでいた克郎は「火事だ!」の声で目を覚ます。ベルが鳴り響いている。丸光園から出火したのだ。

 

逃げ道の途中、克郎は先ほど「再生を気に入った」と話していた女の子・セリに出会う。

セリは弟のタツユキが屋上にいると訴える。

克郎「君はすぐに逃げるんだ」

克郎はセリを先に逃がし、自分は火事の中タツユキを探しに行くことにした。

タツユキを見つけることには成功した克郎だったが、火事の勢いはさらに激しくなる。だんだんと意識が遠のいていく。

『最後の最後まで、信じていてください』

(ああ、今が最後の時なのか。今もまだ、俺は信じていればいいのか。だとすれば親父、俺は足跡を残したことになるのかな。負け戦だったけどさ…)

 

超満員のアリーナでは、稀代の天才女性アーティストが最後の曲を歌おうとしていた。

「最後はいつもの曲です。この曲を作った人は、自分の命と引き換えにして弟を救ってくれました。その人に出会わなければ、今の私はなかったでしょう。だから私は、生涯この曲を歌い続けるのです」

そして『再生』のイントロが流れ始めた。

 

「ナミヤ雑貨店」の店主・浪矢雄治

 

ナミヤ雑貨店の店主・浪矢雄治が人生相談を始めたときは、子供のいたずらのような質問にとんちで返すようなものだった。しかし、次第に真剣な相談者も増えてきたという。

 

悩み相談に応えることは、70歳を超えた浪矢雄治にとって新たな生きがいとなっているようだ。

 

一方で、ナミヤ雑貨店の経営はもはや取り返しのつかないことになっている。

雄治の息子・貴之は自分が新しく建てる家で同居しないかと持ち掛けるが、浪矢は申し出を断った。

 

ある日、

『妻子ある人の子供を妊娠してしまった。子供を産めるチャンスはこれで最後だと思う。どうすればいいか』という相談がきた。

雄治は相談者の気持ちに寄り添い、真摯に回答をひねり出そうとしている。

 

雄治が倒れた。もう長くはないらしい。

雄治は貴之に「最後の頼みだ」と言い、一晩ナミヤ雑貨店で一人にしてほしいと告げる。

 

雄治は「自分の回答が本当に相談者の役に立ったのか?」ということを気にしていた。

というのも、新聞で例の相談者が赤子もろとも無理心中を図ったらしいと知ったからだ。

そして、雄治は不思議なことに確信していた。

 

今夜、ナミヤ雑貨店で待っていれば未来から「かつての相談者からの手紙」が届くことを。

 

貴之は雄治を雑貨店に送ると、車の中で親父から受け取った手紙を開いた。

『貴之殿。一つ頼みがある。私の33回忌が近づいたら、次の文章を告知してほしい』

 

<〇月○日(ここには当然私の命日が入る)の午前零時零分から夜明けまでの間、ナミヤ雑貨店の相談窓口が復活します。そこで、かつて雑貨店に相談し、回答を得た方々にお願いです。その回答は、あなたの人生にとって役に立ちましたでしょうか。それとも、役には立たなかったでしょうか。忌憚のないご意見を頂ければ幸いです>

 

夜が明け、貴之が雄治を迎えに行くと、そこには「ナミヤ雑貨店様へ」と表書きされた封筒がたくさん並んでいた。

 

本当に昨夜のうちに手紙が届いたらしい。

その中には、無理心中から助かった赤子からの手紙もあった。

 

その子は、事件の後に児童養護施設「丸光園」に預けられた。

成長して、かつての無理心中事件のことを知ったときには絶望したが、よくよく調べてみると違った真実が見えてきた。

 

あれは事故だったのだ。

母親は貧困の中、自分が衰弱する程に赤子に愛情を注いだが、無理がたたって意識が飛び、車ごと海に落ちてしまった。

 

そして、なんとか我が子だけでも助けようとしたのだ。

 

「ナミヤ雑貨店様 母へのアドバイス、心から感謝します。私は今、自信を持って言えます。生まれてきてよかった、と」

 

その子は今、園で友人だった歌手・水原セリのマネージャーをしているとのことだ。雄治の悩み相談は、確かに人々の役に立っていた。

 

そして、2012年。雄治の33回忌の年。

貴之の孫である駿吾は、祖父から頼まれた告知をインターネット上に流していた。

「ナミヤ雑貨店の相談窓口が復活します 和久浩介はナミヤ雑貨店にとって最初の「真剣な相談者」だった。

 

当時中学2年生だった浩介は「家族とともに夜逃げしなければならない。どうしたらやめさせられるか?」とナミヤ雑貨店に相談した。店主・雄治からの回答は「仕方がない事情がある。辛くても家族と一緒にいなさい」というもの。

ところが浩介は荒れている父親の態度が嫌になって、夜逃げの途中に両親から逃げ出した。見知らぬトラックに潜り込み、東京へとたどり着いた浩介はすぐに家出少年として警察に補導されてしまう。

しかし、警察に夜逃げの事情は話せない。

浩介は黙秘を貫き、なぜかいつまでたっても浩介の身元は判明しなかった。

 

その後、浩介は児童養護施設「丸光園」へと渡る。

とっさに名乗った偽名「藤川博」で戸籍が新たにつくられ、浩介は「藤川博」として生きていくことに。

浩介は丸光園で木彫刻に目覚め、園を出た後は職人の弟子となってプロの世界へと入っていった。

 

その後、浩介は浪矢貴之から不思議な話を聞いた。自分と同じように夜逃げについて相談した子供がいたこと。

 

そっくりな状況にいたその相談者からは「アドバイスの通り家族一緒にいて幸せになれた」と報告があったそうだ。

2012年。浩介はナミヤ雑貨店復活の告知を見て、町に戻ってきた。

 

手紙を書くためにたまたま入った飲み屋は、浩介が「和久浩介」だったころの友人の妹が経営している店だった。

 

そこで浩介は「和久浩介」に関する不思議な話を耳にする。

『和久浩介は一家心中で亡くなった』

両親は浩介が逃げた後、心中したのだ。

そして、その際にわざと海を選ぶことで「浩介の遺体が見つからなくてもいい状況」をつくりだした。

 

あとは遺書にしたがって浩介は亡くなったものとして扱われるというわけだ。

だから、警察がどれだけ探しても浩介の身元は判明しなかった。

では、両親はなぜそんなことをしたのか?

もちろん、すべては『浩介の幸せ』のため。

 

現に両親の犠牲のおかげで、浩介は安定した日常を過ごすことができている。

 

浩介はナミヤ雑貨店宛に書いた「アドバイスは役に立たなかった」という旨の手紙を破り捨てた。

家族で一緒にいた方がいい、という爺さんの助言は正しかったのかもしれない。

浩介は新たに手紙を書いた。

 

<夜逃げの後も家族で一緒にいました。いろいろあったけど今は幸せに過ごしています>それは、かつて浩介が貴之から聞いたどこかの少年の話とよく似ていた。

 

場面は再び2012年の廃屋。

 

翔太・敦也・幸平の3人はこの奇妙な現象について調べ、今日がちょうど浪矢雄治の33回忌の日…つまり「ナミヤ雑貨店1夜限りの復活の日」であることにたどり着く。

 

翔太「今日は特別な日で、だから現在と過去がつながっているんだ」

このまま廃屋に留まっていても、夜は明けない。

しかし、3人はもう少し事の顛末を見守ることに決めた。

そして、最後の相談が届く。

 

<こんにちは、ナミヤ雑貨店さん。私は就職したばかりのOLなのですが、ホステスとしても働き始めました。どうしてもお金が必要な事情があり、このままホステスの道に専念しようかと考えています。どうすれば周囲の人間を説得できるでしょうか?>

――迷える子犬より

 

3人は論外だと一刀両断し、水商売を辞めるように忠告する。水商売を続けてもろくな未来はない。

それは、水商売をしていた酷い母親から「丸光園」へと保護された経歴を持つ敦也が誰よりも知っていることだった。

 

同じく丸光園出身の翔太と幸平も、そのことはよくわかっていた。

そして、迷える子犬からの返事が届く。

 

<私は幼い頃に両親を亡くし、丸光園という児童養護施設で幼少期を過ごしました。その後は親切な親戚に引き取られたのですが、高齢な彼らの生活を支えるにはお金が必要なのです。夜の店の出店に協力していくれるというお客さんもいます。それでも私の計画には真剣味が足りないでしょうか?>

…丸光園の出身者だって?

 

迷える子犬こと19歳の武藤晴美は、同じく丸光園出身者の友人でフェンシングオリンピック候補選手の静子からナミヤ雑貨店の話を聞いて相談した。

ナミヤ雑貨店からは晴美を疑うような返事ばかりが届いたが、アドバイス通りに出店協力してくれるという男を探ってみたところどうも怪しい。

やはり女手一つで大金を稼ぐことなど無理なのだろうか。

そんな折、ナミヤ雑貨店から不思議なアドバイスが来た。

 

<迷える子犬さんへ。あなたが水商売に頼らず夢をかなえる方法を教えます。まず、これから5年間は証券取引と不動産売買の勉強をしてください…>

3人は未来の知識を使ってバブル経済で稼ぐ方法と引き際、その後のインターネットビジネスに関する情報を晴美に伝えた。

 

それから晴美はバブル経済に乗って大成功した。

バブルがはじけた後は自分の会社を設立し、敏腕女社長としての日々を過ごしている。

自分を引き取ってくれた親戚への恩返しもできたし、今は経営不振に陥っているという丸光園を買い取る計画も進行中だ。

 

丸光園は現在、副館長の苅谷が悪事を働いて私腹を肥やしているようだが、そうはさせない。

園の子供たちが吹き込まれた『丸光園を買収しようとしている悪者』という噂を信じて晴美を目の敵にしてくるのはつらいところだが。

 

そして雄治の33回忌の日。

告知を知った晴美はナミヤ雑貨店に感謝の手紙を出すことにした。

手紙をしたためた後、午前零時まで今は別宅として使っている親戚の家で過ごすことにする。

 

しかし、妙だ。

家の中から誰かの気配がする…。

その瞬間、晴美の手は何者かに掴まれ、口に何かが当てられた。

「騒ぐな。おとなしくしてたら何もしない」

泥棒に入られていたのだ!

犯人は3人組の若い男のようだった。

「丸光園をホテルにするって本当ですか?」

(私を狙った理由は、苅谷が流したデマ?)

 

噂について否定すると、3人は金目の物と晴美の車を奪って逃げていった。

…ああ、車にはナミヤ雑貨店への手紙が入っていたのに。

どのみち縛られて動けない晴美には、手紙を出しに行くことさえ叶わないのだが…。

 

場面は再び、2012年の翔太・敦也・幸平。

迷える子犬の行く末を案じていた3人は、先ほど泥棒に入った家の女社長が書いた手紙を読んで愕然とする。

<ナミヤ雑貨店様へ。私は以前にお手紙を出した迷える子犬です。私はナミヤ様の助言に従いました。心から感謝しています。あなたは永遠に私の恩人です。今後は私が多くの人を救っていきたいと思います>

 

なんということだ。

迷える子犬は無事に成功していたが、その後、3人が彼女の家を襲ってしまったとは…。

手紙を読む限り、女社長が丸光園を潰すようなことはないはずだ。

3人は晴美を解放した後、自首することに決めた。

 

ナミヤ雑貨店を後にするとき、ふと牛乳箱を開けると一通の手紙が入っていた。

それは、3人が過去とのつながりを実験するために投函した「白紙の手紙」に対する、浪矢雄治からの返事だった。

 

<名無しの権兵衛さんへ。白紙の手紙は地図がないという意味だと解釈しました。あなたの地図は白紙だから、目的地を決めようにも道がどこにあるかさえもわからない。地図が白紙では困って当然です。だけど見方を変えてみてください。白紙なのだから、どんな地図でも描けます。>

 

<すべてはあなた次第なのです。何もかもが自由で、可能性は無限に広がっています。これは素晴らしいことです。どうか自分を信じて、その人生を悔いなく燃やし尽くされることを心より祈っております>

<悩み相談の回答を書くことは、もうないだろうと思っておりました。最後に素晴らしい難問をいただけたこと、感謝申し上げます。ナミヤ雑貨店>

 

3人は本当のナミヤ雑貨店にとって最後の相談者でもあった。

学歴もなく、職もなく、希望もない。悪事だって働いてきた3人にとって、それはなんと心にくる回答だったことだろう。

 

敦也が便箋から顔を上げると、他の2人と目が合った。

どちらの目も、きらきらと輝いていた。

自分の目もそうに違いないと思った。

 

ナミヤ雑貨店の奇蹟』終わり

 

最初はよくあるSFかと思いましたが、雑然としていた事実も、最後になるにつれどんどん繋がっていくというところはさすが東野圭吾さんといったところですね。昭和の雰囲気やそれぞれの相談者のストーリーも読みごたえがあり、面白かったです。

映画では、主人公演じる山田涼介たちの演技力が気になるところです。

映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」公開は2017年9月23日です。